全国で相次ぐ恐竜化石の発見。手柄の主はアマチュア採集家「化石ハンター」。五感と直感、先入観なしの素直な心で探し出す
2022/12/12 11:00

獅子島の恐竜発掘調査では、アンモナイトの化石が続々と見つかった。地層が恐竜時代の白亜紀後期であることを示している=11月、長島町獅子島
映画「インディ・ジョーンズ」シリーズのモデルになったアメリカの博物学者ロイ・チャップマン・アンドリュースは、今から100年前、モンゴルのゴビ砂漠で恐竜や哺乳類の化石を発掘した化石ハンターです。この夏、東京上野の国立科学博物館(科博)で化石ハンター展が開催され、アンドリュースの成果を中心に、ゴビ砂漠で現在行われている科博の調査状況が展示されました。
私も学生時代、絶滅した海生爬虫類(はちゅうるい)「魚竜」やアンモナイトの化石を欧米で採集した経験があります。しかし、化石がゴロゴロ転がる海外の産地には、あまり魅力を感じません。
日本国内で多くのハンターが入った場所であっても、違う思考と視点で大物化石を発見することに喜びを感じます。そこにハンターとしての成長があり、日本や地域の化石研究のためになると信じているからです。
近年、鹿児島県・獅子島の他にも、兵庫県丹波地方、北海道むかわ町などで、恐竜化石の発見が続いています。いずれも、アマチュアと呼ばれる、地元の採集家たちによる手柄で、研究者によるものではありません。「アマチュアの方が研究論文などの縛りがなく、自由な時間があるからだ」という研究者からの声も聞きます。しかし、私から言わせれば、仕事を持つアマチュアの方が時間的、経済的な制約は多いのです。
なまじ知識がない方が、先入観に縛られず素直な心で探せます。大切なのは、目だけでなく五感を全て使った上で、直感を研ぎ澄ますこと。そして、どんどん自然の中に出ていくことです。そう考えると、子どもの方がハンターに向いているのかもしれませんね。
遠い外国に行かなくても、皆さんの足元の獅子島に恐竜が眠っています。私にとっては、ゴビ砂漠より魅力的な宝の島です。冒険の入り口は、意外と近くにあるものなのです。
【プロフィル】うつのみや・さとし 1969年愛媛県生まれ。大阪府在住。会社勤めをしながら転勤先で恐竜や大型爬虫類の化石を次々発掘、“伝説のサラリーマン化石ハンター”の異名を取る。長島町獅子島ではクビナガリュウ(サツマウツノミヤリュウ)や翼竜(薩摩翼竜)、草食恐竜の化石を発見。2021年11月には化石の密集層「ボーンベッド」を発見した。著書に「クビナガリュウ発見!」など。
(連載「じつは恐竜王国!鹿児島県より」)
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