ミニスカートの私も悪かったのか…性犯罪被害者につきまとう無理解と偏見 誰にも相談できない人はいるはず

 2022/12/08 20:53
(記事と写真は関係ありません)
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 「自分が襲われるとは思いもしなかった」。2016年秋、鹿児島市の自宅アパート前。アルバイトを終え、帰路についた午前3時ごろ、専門学校生だった女性会社員(26)は背後から見知らぬ男に抱きつかれた。とっさに叫ぶと逃走。抵抗した弾みで倒れ、口を切った。誰になぜ襲われたのか、今も分かっていない。

 大通りでタクシーを降りた後、友人と電話をしながら1人で歩いていた。白い作業着姿だったこと以外、男の顔や背丈は思い出せない。「通話していなければ気付けたかも。ミニスカートの私も悪かったのかな…」。友人に話すと警察に相談するよう勧められた。

 その日の朝、交番を訪ねた。「もう少し早く来てくれれば」と言われ、手遅れかと不安になった。本署から駆けつけた女性警察官に詳細を話すと、強制わいせつ致傷事件として受理され、衣服の提出や現場での立ち会いを求められた。

 周りの反応はさまざまだった。「怖かったね」と寄り添ってくれる友人がいた一方、「そいつ、実は俺だったりして」とちゃかす男友達も。「レイプの末、殺されるかもしれないと思った。被害を軽視した彼の冗談は、性犯罪を容認するのと同じだと思った」と憤る。

 親しい友人には言い出せなかった。同情や気を使われるのが嫌だったからだ。警察がパトロールを強化してくれたが、夜道は怖かった。被害のせいでバイトを辞めたり、行動が制限されたりするのは悔しい。護身用の棒を持ち、できるだけ友人と帰るしかなかった。

 「誘うような格好をしていたからでしょ」「夜、出歩く女も悪い」。性犯罪を取り上げた交流サイト(SNS)には、加害者ではなく、被害者を責める書き込みがあふれる。女性は「被害を信じてもらえなかったり、偏見の目にさらされたりする不安から誰にも言えない人もいるはず」と話す。

 20年度の内閣府調査で、無理やり性行為などをされた女性は14人に1人。被害女性の6割、男性の7割は相談できていない。「恥ずかしくて言えなかった」「自分さえ我慢すればいい」との理由が多く、表面化しにくい実態が浮かぶ。

 性犯罪防止の活動で、女性ばかりが啓発の対象になっていることにも疑問を覚える。「被害者を取り巻くみんなが向き合うべき問題。性被害とは何か、加害行為をしたことはないか、性別を問わず考えるべきだ」と女性は訴える。

 「大切な人や友人がいつ巻き込まれてもおかしくない。『あなたに責任はない』『信じるよ』と声をかけてほしい。何も言わず、そばにいてあげるだけでも力になる」



 事件・事故の被害者、遺族は、時間が過ぎても悲しみや怒りを振り払うことはできない。その思いを伝え、犯罪抑止や被害者支援の在り方を考えたい。

(連載「消えぬ悲しみ 被害者の思い」より)

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