(詳報)馬毛島“石器”発見場所が包蔵地に決定、防衛省「適切に対応」 周辺で滑走路や駐機場など整備予定

 2022/12/13 10:00
石器とみられる遺物が見つかった現場=10月11日、西之表市馬毛島(市教育委員会提供)
石器とみられる遺物が見つかった現場=10月11日、西之表市馬毛島(市教育委員会提供)
 鹿児島県教育委員会は12日、米軍機訓練移転と自衛隊基地整備が計画される西之表市馬毛島で見つかった、3万3000~3万年前(旧石器時代)の石器とみられる遺物について、発見場所周辺を文化財保護法が定める「周知の埋蔵文化財包蔵地」(包蔵地)と決めた。防衛省は「法に基づいて適切に対応する」とコメントした。

 同省は本年度内に基地本体工事に着手したい意向で、発見場所の周辺では滑走路や駐機場などの整備を予定。包蔵地で国や地方自治体が事業者として工事する際は、事前に県教委へ通知が必要となる。両者が協議する中で、現状保存ができないなど遺跡に影響が出ると判断した場合、県教委は発掘調査を実施するよう勧告できる。

 県教委によると、包蔵地としたのは、石器とみられる遺物数点が見つかった島中央部の地点で、範囲は約1万3000平方メートル。名称は「八重石(やえいし)遺跡」とした。近くホームページや、西之表市教委の遺跡地図で周知する。見つかった遺物は、県教委が形状や材質などを調べ、文化財とするかどうかの鑑査を進めている。

 遺物は10、11月の計3日間、市教委が島内全域を対象に初めて実施した文化財調査で発見。11月30日に県教委へ報告していた。火を使った土の跡や焼けた石も見つかったが、県教委によると、市教委からの報告には含まれず、発見場所周辺は包蔵地にはなっていない。