鹿児島市が県に無償貸与50年超 鴨池運動公園の市有地価格は240億円 市、「無償」継続の方針 市議会個人質問

 2022/12/15 11:48
鹿児島市有地にスポーツ施設が並ぶ県立鴨池運動公園=同市与次郎2丁目(2020年11月、本社チャーター機から撮影)
鹿児島市有地にスポーツ施設が並ぶ県立鴨池運動公園=同市与次郎2丁目(2020年11月、本社チャーター機から撮影)
 鹿児島市は14日の市議会個人質問で、県に無償貸与する鴨池運動公園(与次郎2丁目)の市有地の路線価を基にした価格は約240億円と明らかにした。市の2005年度外部監査は無償貸与に関する手続きの改善を要請しており、下鶴隆央市長は11月の定例会見で「適切な対応を取る」と表明。しかし、同日の本会議で、市は従来方針の維持を示した。

 同公園は約19万平方メートル。1972(昭和47)年の太陽国体を前に、県が野球場や陸上競技場などを整備した。市は当初、県に土地購入を求めたものの、財政難などを理由に拒まれ、国体の4年前に県と市で「覚書」を結んだ。無償貸与は覚書に基づき50年以上続く。

 覚書は市財産規則の手続きを踏んでいなかったため、市の外部監査は「不適切」と指摘。「契約期間を定めない覚書のみでは永久に無償貸与になる」と改善を求めた。

 長年放置状態だった監査について、下鶴市長は11月の会見で「指摘は重い」と対応に言及。だが、12月14日の本会議で吹留徳夫建設局長は「県と市の協力関係と役割分担の下、共同で(鴨池を)整備した」と述べ、県民、市民が利用している点を挙げて覚書に沿った対応の継続を表明した。

 鴨池の無償貸与問題は市のスタジアム構想に関する個人質問で出た。鹿児島港本港区で検討する3候補地のうち2カ所は県有地で、市の試算によると本港新町のドルフィンポート(DP)跡地は66億円、住吉町15番街区は47億円。

 市はDP跡地、住吉町とも土地取得費を事業費に加えず無償利用を前提にする。この方針に対し、塩田康一知事は県有地に決まった場合、「土地は売却するのが基本」との考えを示している。

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