ふるさと納税返礼品は「スパイク受ける権利」? V3リーグ参戦のフラーゴラッド鹿児島、ホームタウン日置市とスポーツで地域創生に挑む

 2022/12/16 08:15
2023年秋からV3リーグに参入するフラーゴラッド鹿児島の選手たち(中央は川畑俊輔GM)=日置市中央公民館
2023年秋からV3リーグに参入するフラーゴラッド鹿児島の選手たち(中央は川畑俊輔GM)=日置市中央公民館
 バレーボール男子のフラーゴラッド鹿児島(F鹿児島)は2023年秋からV3リーグに参入する。10月末にはホームタウンの日置市と共同で会見。初年度のV3優勝とV2昇格を誓うとともに、「スポーツを生かした新しい地域創生」として、さまざまな具体策を示した。自治体とプロスポーツクラブが連携してどんなまちづくりを展開していくのか。川畑俊輔ゼネラルマネジャー(GM)と永山由高市長に聞いた。

 -ホームタウンを結んだ経緯は。

 川畑GM「Vリーグ参入が未定の頃、ホームタウン選定が難航した。『参入が決まったら検討する』という自治体もある中、日置市が快諾してくれた」

 永山市長「日置はバレーと特に縁深いわけではない。財政規模も小さく、『大きな財政支援は無理だ』と伝えた。一方で、F鹿児島は選手数が少なく大型エースもいない。コンビプレーを軸に躍動感あふれる試合で国内最高峰のV1リーグを目指すと聞いた。予算や人口は少なくても、スピード感ある行政で『対話と挑戦』を掲げる日置の姿と重なった。価値ある協調ができると決断した」

 -スポーツと自治体といえば、中学校部活動を地域の民間クラブや指導者に委ねる「地域移行」が来年度から段階的に始まる。

 川畑GM「日置市以外にサブタウン協定を結ぶ伊佐、出水、南九州3市でもバレー教室を開いている。少子化に伴い、『単独校でチームを組めない』『通う学校にバレー部がない』という声は少なくない。来夏をめどに、日置市内に中学世代のクラブチームを立ち上げる計画だ」

 永山市長「部活動の地域移行は、全国共通の課題。高い技術と経験を持つクラブと連携できるメリットは大きい。日置市は社会人野球の鹿児島ドリームウェーブとも協定を結んでいる。両トップチームには地域移行に向けた意見をもらい、全国に先駆けた仕組みづくりを発信したい」

 -スポーツを地域づくりにどう生かす。

 永山市長「ふるさと納税の返礼品に『プロ選手のスパイクを受けられる権利』を考えている。新しい体験型メニューとして、日置に実際に足を運んでもらうきっかけになる」

 川畑GM「ユニホームにはペットボトル再生糸100%を採用した。製造時に発生する二酸化炭素量を75%削減できる。環境問題に取り組む日置市の理念を共有できる」

 永山市長「市でもゼロカーボンシティー(脱炭素社会)を掲げているが、浸透はまだまだ。郷土のチームが着ているユニホームを題材に、子どもたちの理解の敷居を下げられると期待している」

 【取材を終えて】プロスポーツクラブと自治体の関係は、資金や施設での連携が多かった。F鹿児島と日置市の協調は、少子化でしぼむスポーツの裾野拡大を狙うクラブ側と、少ない予算や人口で大きな価値を生みたい自治体側の意向が合致する新たな取り組みだ。「互いに挑戦者。クリアすべき課題だらけです」と永山市長は言う。どんな未来を見せてくれるのか。スピーディーなコンビプレーに期待したい。