ドラマsilent効果? 手話サークルがにわかに活況 高校生や若者の姿目立つ

 2022/12/21 12:00
ろう者(右)との会話を楽しむ健聴者ら=鹿児島市心身障害者総合福祉センター
ろう者(右)との会話を楽しむ健聴者ら=鹿児島市心身障害者総合福祉センター
 鹿児島市の手話サークルに参加する人が増えている。KTS鹿児島テレビで放映中のドラマ「silent(サイレント)」の影響もあってか、高校生ら若者の姿も目立つ。市聴覚障害者協会は「手話に興味を持つ人が増えていけば」と期待している。

 県手話サークル連絡協議会によると、同市で活動するのは手話サークル「太陽」のみ。真砂本町の市心身障害者総合福祉センター(ゆうあい館)で活動し、128人が在籍する。ここ2カ月ぐらいで10人以上が入会。週2回の定例会があり、8日の例会には従来の倍の30人以上が集まった。

 新たに加わった手話未経験者4人の自己紹介でスタート。簡単な手話や手話通訳を介して名前や住まいなどを伝え、会員らは手をひらひら動かす手話の拍手で歓迎した。

 市聴覚障害者協会に所属するろう者も出席。健聴者と4、5人のグループに分かれて交流した。趣味や家族の話をしたり、固有名詞や方言の手話を教え合ったりした。神村学園専修学校2年浜島夏鈴さん(19)は、耳が不自由な祖母と会話するために初めて足を運んだ。「手話だけでなく口の動きや表情から話を読み取り、初心者でもやりとりできた」と満足そうだった。

 「ろう者にとってもサークルの存在は大きい」と語るのは、生まれつき耳が聞こえない瀬戸口佳代子さん(73)=新栄町。「思いが通じ合えた瞬間の感動が手話の魅力。より多くの人と手話で会話できたらうれしい」と話す。

 市は来年度の手話言語条例制定に向けて、市民の意見を聞くアンケートや職員向けの手話研修会を開いている。サークルの浅野泰明代表(77)は「ドラマが手話に挑戦するきっかけをつくってくれた。より多くの人が参加し、障害の垣根を越えた憩いの場が盛り上がれば」と語った。