鹿児島県獣医師会で1.7億円の使途不明金…解雇された経理担当元職員が提訴 「捜査で不起訴、横領の事実ない」

 2022/12/22 07:00
 2019年に発覚した鹿児島県獣医師会の使途不明金問題で、懲戒解雇された元職員が「横領の疑いをかけられたが、捜査で不起訴となった。解雇は無効」として、処分を受けた20年9月以降の賃金計約1500万円の支払いなどを求めて鹿児島地裁に提訴したことが21日分かった。獣医師会側は請求棄却を求めている。

 獣医師会などによると、使途不明金は約1億7000万円に上り、うち数千万円に横領された疑いがあった。経理を担当していた元職員は業務上横領容疑で告訴されたが、鹿児島地検は今年3月に不起訴(嫌疑不十分)とした。

 元職員は10月に提訴。「横領の事実はなく解雇される理由はない」と主張し、職員としての地位確認と賞与を含めた賃金支払いを求めた。獣医師会は「経理担当として多額の使途不明金を発生させたことなどが解雇の理由。横領の有無は関係ない」としている。

 不明金については、獣医師会が旧役員からの協力金や会費値上げで補填(ほてん)したが、元職員の採用前から簿外口座が存在するなど不適切な会計処理が常態化していたため、内部調査で全容を解明できなかった。