鹿児島の特産・黒豚が足りない 年末年始の需要期迎え「ブランド全体にとって損失」 背景に厳しい農家経営
2022/12/24 11:04

歳暮向け黒豚の出荷準備をする卸業者。品薄感が広がっている=21日、鹿児島市の岩元精肉店
鹿児島市の精肉卸「岩元精肉店」では最近、日ごろ取引をする業者からの黒豚の納入が必要量の1割ほどに減っている。不足分は別の業者から3〜4割高い価格で買い付ける。
全国展開する通販事業者から秋ごろ、黒豚を使った加工品の商談を持ちかけられたが断った。十分な量を確保できるめどが立たなかったためだ。岩元幸治社長(70)は「今の状況が続けば鹿児島の黒豚ブランド全体にとっての損失だ」と危機感を募らせる。
同市の精肉店「肉の大野屋」の大野雄二代表(42)は「人気の部位が手に入らないことがある」と現状を明かす。例年10月から年末にかけて月に約20頭と、部位別にバラやロースを仕入れる。今年は人気の部位別は諦め、1頭買いを増やしたが、それでも注文通りに届かないことがある。
11月からは人気のバラや肩ロースの特売を見送っている。「お客さまに対しても心苦しい」とこぼす。
品薄の背景とされるのが、生産者の経営の厳しさだ。2020年以降、コロナで外食需要が縮小し、ウクライナ侵攻や円安の影響でえさ代などのコストが高騰。資金繰りに窮する農家が増えた。曽於市で黒豚を育てる青木宏和さん(34)は「国内外の情勢に経営が振り回されている。先が見えない」と訴える。
生産に時間のかかる黒豚に比べて効率が良く、内食需要が高まっている白豚に切り替える農家が出ているという。「黒豚を守っていかなければとは思うが、農家の努力だけでは限界がある」とため息をつく。
国際情勢なども関わるため、需給が今後どう展開するかは不透明だ。岩元精肉店の岩元社長は「商品がなければ、需要があっても売り先を広げることができない。黒豚の信用にも関わる。農家が十分に生産できるような支援が必要ではないか」と指摘した。
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