11月21日、鹿屋で米無人機MQ9運用が始まった。「基地のある街の宿命」と市長。なぜ鹿屋か、期間は1年で十分か-防衛省は明確にしていない。市民生活へ影響は不可避だ
2022/12/26 12:22
地元関係者に公開された米空軍無人機MQ9=11月5日、鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地
鹿屋への無人機計画は1月25日、本紙特報で明らかになった。防衛省の担当者は27日、説明のため鹿屋市を訪問。配備は「鹿屋が最適」としたが、調査時期や配備機数など具体的な内容は未定として詳細な回答を避けた。
2月以降、計画を巡る動きは急速に進んだ。日米合同の現地調査、地元への正式伝達、住民説明会、市議会の容認決議を経て、7月に中西市長と塩田康一知事が受け入れを表明。8機を1年間配備し、隊員最大約200人が市内に駐留することになった。知事が容認した翌日、準備部隊は早速鹿屋入りした。
防衛省は無人機配備について、中国の海洋進出を念頭に南西地域の監視を強めるためと説明している。しかし、なぜ鹿屋なのか、期間は1年で十分かは明確にしていない。
11月21日に無人機の運用が始まった。長年反戦運動に携わる市民の1人は「軍備が強化されているのに、関心はだんだん下がっている」と懸念。商店街では、隊員の駐留が消費増加につながると好意的な受け止めも広がった。
取材ノートに多く書きとどめた市民の言葉は「仕方ない」だった。消極的な賛成とも諦めとも取れる一言の裏に、政府の意向に逆らえない地方の実情が浮かぶ。
太平洋戦争後の進駐軍を除き、県民が米軍と共に暮らすのは初めて。鹿屋では飲食店で駐留米兵と酒を酌み交わす市民の姿が見られる一方、11月に米兵絡みの交通事故でけが人が出た。良くも悪くも、米軍による市民生活への影響は避けられない。
米兵や部隊が絡む重大な事件事故が起きた場合、「日米地位協定」で日本側の捜査・裁判権が制限される可能性がある。軍事的緊張が高まる国際社会で、鹿屋基地の立ち位置は不透明さを増す。来年11月の運用期限まで何も起こらない保証はなく、防衛省と自治体には、最大限備える責任がある。
(連載「かごしま2022社会面 取材ノートから」より)
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