生理用品の無料配布、利用が低調 鹿児島市が始めたコロナ禍の女性支援事業

 2022/12/26 22:38
電話相談に応じる相談員=鹿児島市上之園町のNPO法人こころのサポートアミ
電話相談に応じる相談員=鹿児島市上之園町のNPO法人こころのサポートアミ
 新型コロナウイルス禍で不安を抱える女性を支援しようと、鹿児島市が本年度から取り組む「女性のつながりサポート事業」が、相談窓口の開設から半年が過ぎた。利用者から「心が落ち着いた」と前向きな声が聞かれる一方、生理用品の無料配布は利用が低迷しており、市は提供方法を模索している。

 事業は上之園町に常設する相談窓口での対応と、市内3地域で月6回程度開くコミュニティーカフェ、生理用品の無料配布。市がNPO法人「こころのサポートアミ」に年間約600万円で業務委託している。

 同法人によると、11月末までに10〜80代の延べ171人が相談窓口を利用した。主な相談内容は、身体・経済的ドメスティックバイオレンス(DV)やコロナ禍による経済的困窮、心身の不調など。武井美智子代表理事は「潜在的にあったDVなどが、コロナ下で人と接する機会が減り、悪化した印象」と分析する。

 女性の臨床心理士など専門家が相談に応じる。困窮の問題は、就学できなかったり、所持金がなかったりと深刻なケースが多く、必要に応じて福祉などの関係機関につなげる。いずれの悩みも要因は複合的に絡み合っており、継続して通う人が多いという。

 利用者アンケートでは「家族にも言えない話を相談できた」「一人で抱えてしまうのでまた相談したい」と頼りにする人がいる。来年度の事業継続を望む声も届いている。

 武井さんは「相談すると大ごとになると心配する人もいるが、本人の意向に沿って援助するので、深刻になる前に来てほしい」と呼びかける。希望すれば電話や匿名での相談もできる。

 一方、生理用品の無料配布は、11月末までに約800パックと想定より少なかった。市関連施設の窓口でカードなどを提示すれば会話せずに受け取れるが、市は経済的に困っている人が直接受け取るのをためらっているとみて、9月中旬から試験的にサンエールかごしま(荒田1丁目)のトイレに常備した。ここや人通りの多い天文館図書館などで利用数が伸びている。

 配布時に、相談窓口を案内するチラシも同封している。市男女共同参画推進課の重久直子課長は「配布は相談につなげるための取り組み。いかに助けが必要な人に情報を届けるかが課題」と話した。

 事業は、国の交付金を活用し、来年度の実施は未定。武井さんは「相談を必要している人は多くいる。援助できる仕組みを継続してほしい」と話した。事務局=099(800)1886。

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