【全国高校ラグビー 】「これぞ加治木工」持ち味の粘り強い守備、独走の勝ち越しトライ 初戦突破に観客席、地元が喜び爆発

 2022/12/29 11:00
初戦突破を喜ぶ加治木工業の応援団=28日、東大阪市の花園ラグビー場
初戦突破を喜ぶ加治木工業の応援団=28日、東大阪市の花園ラグビー場
 ラグビーの聖地・花園で真っ赤に染まった観客席が歓喜に沸いた。鹿児島の加治木工業高校は28日、全国高校大会で若狭東高校(福井)を7-0で下し44年ぶりに初戦を突破。応援団は、全国の舞台で完全燃焼した選手たちを拍手でたたえた。

 観客席は満員。スローガン「完全粘勝」と書かれたチームカラーの赤いのぼり旗がはためく。スタンドを埋めた保護者や卒業生は、赤のバルーンスティックを打ち鳴らして選手を後押しした。

 会場近くに住むOBの永田藤二さん(74)は、ラグビー部が全国デビューした1976年も応援した。「なんぼ月日が経っても地元が出るのはうれしい」。当時のメンバー新福享嗣さん(64)=姶良市=は「県大会の勢いが続いている。これほど落ち着いてプレーできるとは」と舌を巻いた。

 後半24分、近藤應介選手が決勝点となるトライを決めると、応援団は総立ちになり熱狂は最高潮に。ラグビー部OBの佐々木主浩さん(19)は「粘ってワントライで勝つ。これぞ加治木工」と真骨頂の戦いぶりをたたえる。保護者会長の浜砂政哉さん(48)は「いつもドキドキさせられる」とほっとした様子だった。

 競技場前のお好み焼き屋「春美」にはOB会や鹿児島県人会が集まり、喜びを分かち合った。霧島市隼人出身の奥野春美店主(76)は「県出身者も、44年前を知る関西のファンもみんな喜んでいる」と笑った。

 加治木工業高校では、部活動の生徒ら約70人がネット中継を観戦、独走トライによる勝利に喜びを爆発させた。バレーボール部2年の今村瑛人さんは「トライを決めたのはクラスメート。全国で活躍してくれてうれしい」。寶藏大作教頭(58)は「持ち味の守備力を発揮した。次も勝って花園で年越しを」と期待した。