鹿児島市消防局 22年の救急出動、11月末現在で過去最多3万2978件 7~9月のコロナ第7波影響

 2022/12/30 11:31
 鹿児島市消防局の2022年救急出動は、11月末現在で3万2978件(前年同期比5483件増)に達し、年間の出動が統計を開始した1960年以来、最多となったことが30日、分かった。夏の新型コロナウイルス流行「第7波」が要因。例年12月は2500件以上の出動があり、総出動は3万5000件を超える見通しだ。

 これまでの最多は19年の3万2092件で、既に886件上回った。

 第7波が流行した7〜9月は鹿児島市の1日当たりの新規感染者が2000人を超える日もあり、出動要請が急増。猛暑による熱中症疑いも加わり、7月3499件、8月3911件、9月3011件と初めて3カ月連続で3000件を超えた。

 コロナ禍で問題になっている救急車到着後に搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」は12月4日までに65件あったが、コロナ感染疑いによる同事案はなかった。総務省消防庁によると、全国の主な52消防本部でゼロだったのは鹿児島市と松江市だけだった。

 鹿児島市消防局によると、鹿児島県では、コロナ感染疑いの急患者に対応した医療機関の病床使用率を県調整本部が管理。市保健所はこのデータを基に搬送先を決め、救急隊に伝える体制が確立されている。

 一方、宮崎市消防局では11月末時点で救急搬送困難事案は646件あり、114件がコロナ感染疑いだった。感染疑いの急患者の搬送先は救急隊が直接探すため、選定に時間がかかるケースが多いという。

 鹿児島市消防局救急課の中村徳明課長は「冬場はコロナに限らず救急搬送が増える。県、市保健所、医療機関が連携して第7波を乗り切った夏の経験を生かし、引き続き円滑な救急業務に当たりたい」と話した。