議長はどちらから…馬毛島基地計画で賛否拮抗の西之表市議会、来年任期折り返し どうなる?次は賛成派からとの「約束」

 2022/12/31 07:30
馬毛島の自衛隊基地整備計画で賛否が拮抗する西之表市議会=同市役所
馬毛島の自衛隊基地整備計画で賛否が拮抗する西之表市議会=同市役所
 鹿児島県西之表市の西之表市議会(14人)は来年2月、任期の折り返しを迎える。各委員会の構成を変えるのに合わせ、議長、副議長も選び直すのが通例だ。同市馬毛島の自衛隊基地整備計画について、賛否が7人ずつと拮抗(きっこう)する中、議決権を持たない議長に誰が就くのか。議会として計画との向き合い方が問われる問題でもあり、各議員の動向が注目される。

 現議長は反対派の川村孝則氏(63)=7期目。2021年1月の市議選後に開かれた臨時会で、出席13議員の全会一致で決まった。選出に当たっては、事前に「(川村氏の)次は賛成派から議長を出す」との“約束”があったとされる。

 以降、本会議採決では賛成派が多数を占めることになり、同年6月の定例会で初めて計画に賛意を示す意見書を1票差で可決。22年9月には、旧馬毛島小中学校跡地の売却や島内3市道の廃止に関する議案も1票差で可決され、この2年間で計画推進に向けた足場が固められた。

 反対派にとっては劣勢の状況が続いており、議長交代への期待は高い。だが、関係者によると「約束」に関して正式に文書を交わしたわけではない。先行きは不透明と言え、候補として取り沙汰される賛成派議員も「まだ先のことで何も言えない」と口を濁す。

 今年12月の議会運営委員会で、来年2月下旬に臨時会を開くことが決まった。川村氏は慣例に従い、その場で議長の辞職願を提出する構えだ。議会事務局によると、議長を除く13議員で辞職を認めるかどうかを採決し、否決されれば次回本会議まで川村氏が継続することになる。

 計画を巡り、防衛省が基地本体工事の早期着手を目指して手続きを進める中、市議会は水面下で駆け引きが続きそうだ。臨時会の行方次第では、議長が本会議ごとに辞職を願い出るような事態に陥りかねない。