「ウクライナ侵攻で原子力の役割はより大きく」 九電・池辺社長 川内原発増設は「今すぐ動くことはない」
2023/01/07 09:00

インタビューに答える九州電力の池辺和弘社長=福岡市の九電本店
-政府は12月、原発の最大限活用を明記した脱炭素化方針を決定した。
「高レベル放射性廃棄物の最終処分に関し、国が前面に立って主体的な役割を担うと表明したのは大きな前進。一方で、運転期間の上限が一律という問題には踏み込まなかった。業界やメーカーでつくる協議会と原子力規制委員会の議論では、個別の原子炉ごとに判断するのが科学的という結論だった。ただ東京電力福島第1原発事故からまだ12年。九電は15年から川内原発を安定的に運転するが、信頼は少しずつ得られるもの。今の段階では仕方ないと思う」
-川内原発1、2号機の運転延長を申請した。
「カーボンニュートラル実現へ原子力は非常に大きな選択肢で、既存施設を活用した方が新設よりコストが安い。ロシアのウクライナ侵攻により安定供給と電気料金の面からも役割は増した。電気を使えない生活困窮の人を出さないためにも、安全性が確認された既存の原子力は使い続けるべき。川内1、2号機は特別点検の結果、20年間は十分安全に運転できると確信を得たので申請した」
-不安を持つ県民もいる。理解をどう深めるか。
「県が設置した原子力専門委員会分科会できちんと議論してもらう。そのためのデータはきちんと出す。施設のテロ対策やメーカーの商業秘密で難しい面もあるが、どういう形なら可能か前向きに考えたい。地元には足を運んでフェイス・ツー・フェイスで説明したい。原子力の知識や理解は人によって違う。心配な点を聞いて回ることが大事だ」
-川内原発3号機の増設計画に変化は。
「計画は生きているが、県が準備手続きを凍結している。こちらから今すぐ行動を起こしてということはない。原子力は川内と玄海で4基動いており、他の電源と合わせて現在の電力需要には対応できる。国の30年までの需要予測はほぼ横ばい。25年の運転開始を目指して北九州市響灘地区に西部ガスと造る液化天然ガス(LNG)火力発電所で手当てできる。響灘では洋上風力も着工する。ただ電気自動車や工場の電化も広がる。国が長期的な需要を検討する方向なので、それを見ていきたい」
-将来的なエネルギーの比率をどう考える。
「バランスが大事。原子力という選択肢を失ってはいけない。再生可能エネルギーは、安価で大容量の蓄電池ができれば比率を増やしてもいい。だが、急速な進展はないだろう。排出ガスから二酸化炭素(CO2)を取り出し地中に閉じ込める技術CCSが安価でできるようになれば火力でもいい。最初から比率を決めるのではなく、それぞれ研究していきたい」
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