殺処分した鶏の死骸41万羽、別の場所に埋め替えへ ため池に液体が漏出し汚染、ハエも大量発生…鹿児島県が出水の住民に説明

 2023/01/09 08:15
埋め直しの候補地を住民に説明する県担当者=8日、出水市野田
埋め直しの候補地を住民に説明する県担当者=8日、出水市野田
 出水市野田の養鶏場で発生した高病原性鳥インフルエンザの殺処分埋却地から液体が漏出した問題で、県は鶏41万羽の死骸などを他の場所へ埋め替える方針を固め、地元住民に8日説明した。液体が近くのため池を汚染したため、抜本的対策として必要と判断した。既に移設地の選定作業に入っており、決まり次第着手する。

 埋却地は家畜伝染病予防法に基づき、知事の許可がなければ3年間掘り返すことができない。農林水産省は「同様の事例は聞いたことがない」としている。

 埋却地は発生農場に隣接し、殺処分された鶏など約930トンが埋められている。しかし、昨年12月8日に防疫措置を終えた直後から、ため池に消石灰混じりの液体が流れ込み、周辺に悪臭を放つようになった。県は昨年末から池の水を抜く作業を進めている。

 県畜産課によると、現在検討している移設地は発生農場近くにあり、農場の経営会社が所有している。具体的な作業方法などは決まっていないが、「二度と同じような事態が起きないよう遮水対策に万全を期す」(田中和宏課長)という。

 同課はこのほか、池に沈殿した汚泥の処理、池からつながる川の浄化、一部住民が使っている地下水の水質検査に取り組む方針も示した。漏出後に大量発生しているハエ対策も進める。

 説明会には発生農場が所属する専門農協の担当者も出席。「系列養鶏場が発生に備えて確保している埋却予定地について、適地かどうか2月末までに全て点検する」と述べた。