給付金上乗せでは地元の店が潤わない…地域経済の低迷に悩む町が考えた「電子地域通貨」は浮揚策となるか

 2023/01/10 13:30
電子地域通貨導入を見据え、南種子町が昨年12月に配布したデジタルクーポン券と決済用のタブレット端末
電子地域通貨導入を見据え、南種子町が昨年12月に配布したデジタルクーポン券と決済用のタブレット端末
 鹿児島県南種子町は2023年度から電子地域通貨を導入する。町内での購買意欲を高め、新型コロナウイルスの影響で低迷する地域経済を浮揚させる狙い。QRコードを使ったキャッシュレス決済の普及を進め、夏までに運用を始めたい考えだ。

 町によると、これまでコロナ対策として国の給付金に上乗せする形で町民を支援してきたが、地元店での購買につながったとは言い難かった。地域通貨の使用は町内に限られるため、町民の生活支援と地域経済の活性化を両立できるとしている。

 前段階として昨年12月、飲食、小売りの各店舗やガソリンスタンドで使えるQRコード付きデジタルクーポン1万円分を各世帯に配布。店側には決済用のタブレット端末を無償で貸し出した。クーポンは2月末まで使用できる。

 町企画課は「キャッシュレス決済に慣れるための試行期間と捉えて」と呼びかけている。

 各店舗が町から借りたタブレット端末で、他のQRコードを使った決済システムに加盟することも可能という。キャッシュレス決済が広まれば、観光客の受け入れ態勢の強化にもなる。

 電子地域通貨の導入に当たり、町は現金をチャージできるカードを改めて各町民に配る予定。総事業費は7000万円で、主に国のコロナ対策臨時交付金を活用する。小園裕康町長は「コロナ下で全国的にキャッシュレス化が進んでいる。全町民が対応できるようにして『稼げる町』を目指す」と話した。