女性グループが地域の担い手 平均年齢70代 郷土芸能の継承、着ぐるみで見守り活動…「地域を和やかに包みたい」 南さつま

 2023/01/11 21:00
カラフルな着ぐるみで街頭に立つグループ=南さつま市加世田小湊
カラフルな着ぐるみで街頭に立つグループ=南さつま市加世田小湊
 鹿児島県南さつま市加世田小湊では、平均年齢70代の女性グループ「和み会」が地域をけん引している。郷土芸能馬方踊りの保存継承を中心に、時には着ぐるみ姿で街頭に立ち、見守りに励む。住民の笑顔を誘い地域を明るくする「和ませ役」だ。

 馬方踊りは近隣の大浦や笠沙が発祥。そこから嫁入りした人たちが踊り継いできたため、女性が踊るのが習わしだ。お伊勢参りの一こまを歌や踊りでユーモラスに演じる。“薩摩オペラ”と人気を集め、踊りを披露する2月のお伊勢講の日は男性陣を熱狂させる。

 和み会は元々は馬方踊りの担い手グループ。元号が令和に変わった2019年「和の感じが合っている」と一字もらって命名した。現在12人が若手に仕込んでいるほか、地元の小湊小学校で出前授業をして魅力を伝え、担い手育成に熱心だ。

 交通安全にも力を入れ、「より強く無事故の願いを届けよう」と着ぐるみもいとわない。早朝、通学路に並ぶ派手な一団に児童は大喜びする。いつもの優しい顔なじみと分かると、親しく近寄ってお礼を述べる。

 2年の徳重心春さんは「私たちのためを思って愉快な格好をしてくれてうれしい」。江籠鈴ヱ会長(79)は「グループも高齢化しているが、楽しく踊ったりボランティア活動をしたりして地域を和やかに包みたい」と話した。