猛威振るった鳥インフル、鹿児島では2カ月で終息…でも警戒緩めない 養鶏業界「シーズンはまだ続く」

 2023/01/16 07:30
車両消毒ポイントの撤去作業に当たる県職員ら=15日午前、阿久根市脇本
車両消毒ポイントの撤去作業に当たる県職員ら=15日午前、阿久根市脇本
 鹿児島県養鶏業に過去最悪の被害をもたらした高病原性鳥インフルエンザが15日、約2カ月ぶりに終息した。懸命に防疫対応を続けてきた関係者は一様にほっとした様子をみせつつも「県外では今も流行が続いている」とウイルスの再侵入を警戒。防疫徹底へ決意を新たにした。

 出水、阿久根両市に7カ所設けられていた車両消毒ポイントは同日朝から順次撤去された。出水市野田町下名や阿久根市脇本では、県職員らが照明、案内板、テントなどを手早く片付け、次々とトラックに積み込んだ。

 国内トップの鶏卵産地、出水市では、今季県内で発生した12例中9例が集中。市は殺処分などの防疫対応に職員延べ1500人を投入してきた。椎木伸一市長は「ウイルスはなお全国的に猛威を振るっており、安心できる状況にはない。新たな発生を食い止められるよう最大限努力したい」と気を引き締める。

 市はツル渡来地周辺に独自に設けた有人消毒ポイントや散水車による路面消毒は今後も続ける方針だ。

 養鶏専門のマルイ農協(同市)は、鶏や卵の移動・出荷が規制された制限区域内に多くの系列農場が入った。担当者は「制限解除は一つの区切り」とした上で「鳥インフルエンザのシーズンはまだ続く。ウイルスは目に見えず、組合員も不安を抱えたままだ」と話した。

 昨年12月後半に2例が立て続けに発生した阿久根市も終息に浮かれる様子はない。西平良将市長は「各農家は休み無しで対策に当たり、疲弊している。飼料価格も高騰しており、不安は尽きないはずだ。市ができる対策を続けていく」と力を込めた。