「“重罪人”は赤い服を着させられ…」 戊辰・西南戦争の従軍兵がつづった獄中日記、やしゃごが西郷南洲顕彰館に寄贈 陣羽織と陣がさも

 2023/01/17 15:38
戊辰戦争や西南戦争で従軍した佐土原才助の遺品。(左上から時計回りに)陣がさ、陣羽織、獄中日記=鹿児島市の西郷南洲顕彰館
戊辰戦争や西南戦争で従軍した佐土原才助の遺品。(左上から時計回りに)陣がさ、陣羽織、獄中日記=鹿児島市の西郷南洲顕彰館
 戊辰(ぼしん)戦争と西南戦争に従軍した薩摩兵の遺品を、子孫に当たる鹿児島市の山下京子さん(77)が、同市の西郷南洲顕彰館に寄贈した。陣がさと陣羽織、西南戦争終結後に収監された際の獄中日記の計3点で、「複数の資料が良好な状態でそろっており貴重」と同館。近く展示を始める。

 兵士は、伊佐郡西太良村(現・伊佐市大口針持)出身の佐土原才助。戊辰戦争に出兵した記録が残っており、36歳で出征した西南戦争では、村の参戦者をまとめる半隊長として熊本に向かったと伝わる。

 戦争終結後は、長崎であった裁判で「除族の上、懲役2年」との判決を受け、東京の市ケ谷監獄に収監された。

 陣がさは高さ15センチ、幅31センチ、長さ35センチ。陣羽織は幅63センチ、長さ76センチで、どちらも竜が描かれている。山下さんの親戚で、寄贈を仲介した南九州郷土研究会の新東晃一会長(75)=姶良市=によると、戊辰戦争参戦の恩賞として与えられた可能性があるという。

 獄中日記は、収監の際に横浜から「東京新橋ステーション」まで汽車で護送され、重罪人として赤い服を着させられたことや、大久保利通が暗殺された日には「今日は大変なる云々(うんぬん)の咄(はなし)を、聞く」と記している。

 山下さんは才助のやしゃごに当たり、遺品は伊佐市内の実家に保管されていた。「多くの人に見てもらい、歴史を知るきっかけにしてもらえたら」と話した。