山の学校に「カブトムシの館」 クヌギ囲む快適空間 羽化待つ幼虫100匹 成虫まで観察、生きた森林環境教育に 出水・上場小

 2023/01/17 21:00
「カブトムシの館」造りに精を出す上場自治会の有志ら=2022年12月17日、出水市上大川内
「カブトムシの館」造りに精を出す上場自治会の有志ら=2022年12月17日、出水市上大川内
 鹿児島県出水市の高台にある上場小学校の裏山に「カブトムシの館」が完成した。年間を通してカブトムシが生息できる空間をつくり、森林環境教育に役立てるのが狙いで、建設には地域住民が協力した。

 PTAが県の補助事業を活用し、上場自治会と共に整備した。広さは2メートル四方で、高さも2メートル。カブトムシが好む樹液を出すクヌギの立ち木を建物内に取り込んだのが特徴だ。

 2022年11月下旬から、自治会の有志10人ほどが少しずつ作業。ブロックで基礎を造り、鉄製パイプや材木を組んだ外枠に金網を張って仕上げた。中には腐葉土や朽ち木、落ち葉を敷き詰めてある。

 同校のキャッチフレーズの一つは「カブトムシの学校」。裏山にクヌギの苗を植え、生態に詳しい市青年の家の東秀文所長(57)を招いた特別授業にも取り組んでいる。児童は、人と自然が共生する「里山」の生き物であることなどを学び、幼虫からさなぎへの変態や羽が白い羽化直後の成虫も観察してきた。

 22年秋に卵からかえった幼虫は現在、丸まった状態で直径5~6センチほど。14日、ケースで飼っていた約100匹を館に移した。4年石澤煌翔君は「たくさんのカブトムシが土の中から出てくると考えるとワクワクする」と今夏の羽化を心待ちにした。竹園徹自治会長(71)は「山の学校にふさわしい自然を生かした教育につながれば」と期待した。