コロナ禍で好調、自治体に広がる「電子図書館」 でも…紙より割高、サービス維持には財源確保が課題
2023/01/21 21:20
貸し出しや予約ができる電子書籍を掲載する「かのや市電子図書館」(鹿屋市)のホームページ画面
鹿児島市立図書館は昨年2月、千冊で運用を開始。12月末時点で2161冊まで増やし、延べ2万6938冊を貸し出した。1冊平均12.5回貸し出されており、想定を上回る利用数だという。2022年度の予算は管理費や書籍使用料合わせて1640万円。小城裕子副館長(53)は「来年度も、文芸書や実用書など可能な限り増やしたい」と話す。
10月、1200冊から始めた鹿屋市立図書館の「かのや市電子図書館」は、12月末までに延べ1万5500冊貸し出した。利用法を解説する動画をホームページに掲載、1人1台デジタル端末がある学校現場での活用も進める。児童向け文庫100冊は何人でも同時接続できるほか、市内の小中学生に限って貸し出しを一般の倍の4冊にしている。樫田博史館長(43)は「若い世代の読書習慣定着に結びつけたい」と力を込める。
6月に1250冊でスタートした薩摩川内市立中央図書館は12月末で延べ8881冊を貸し出した。尾嵜菊一館長(60)は「要望に応えてジャンルを充実させ、利用促進を図りたい」。
ただ電子書籍は1冊平均4000円と紙の本に比べて割高で、閲覧期限付きのものを並べ続ける場合は再購入が必要だ。また3市とも、導入に当たってはコロナ対策を支援する国の地方創生臨時交付金を充てており、担当者は「サービスを続けるためには、安定的な予算が必要」と口をそろえる。
電子出版制作・流通協議会の調査によると、昨年10月時点で全国1788自治体の約24%にあたる436の自治体が電子図書館を導入している。調査した専修大学の植村八潮教授は「コロナ禍と教育分野のデジタル政策で加速度的に普及しているが、技術革新が進む中で常にアップデートが必要。流動的なサービスだという認識が求められる」と指摘する。
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