〈詳報〉H2A 連続40機成功、成功率97.82% あと4機、23年度の50号機で終了へ 2月にはH3の1号機打ち上げ

 2023/01/27 10:25
情報収集衛星を搭載し上昇するH2Aロケット46号機=1月26日、南種子町の種子島宇宙センター
情報収集衛星を搭載し上昇するH2Aロケット46号機=1月26日、南種子町の種子島宇宙センター
 三菱重工業は26日午前10時50分21秒、政府の情報収集衛星「レーダー7号機」を載せたH2Aロケット46号機を、南種子町の種子島宇宙センターから打ち上げ、約20分後に予定軌道で衛星を分離した。H2Aは2005年の7号機から40機連続で打ち上げに成功し、成功率は97.82%となった。

 レーダー7号機は、北朝鮮のミサイル発射施設の監視など国の安全保障につながる情報を集める事実上の偵察衛星。耐用年数を超えた同5号機の後継機として運用する。電波を使い昼夜や天候を問わず地表面を撮影できる「レーダー衛星」で、大規模災害時の被災地把握にも役立てる。開発費は512億円。

 内閣衛星情報センターによると、政府は監視体制の強化のため、03年から情報収集衛星を運用。関連費用として、1998年度から22年度までに計1兆6861億円を投じている。今回の打ち上げ成功で、耐用年数を超えた衛星5機を含め10機体制となった。

 情報衛星にはレーダー衛星のほか、日中の晴天時に詳細撮影が可能な「光学衛星」などがある。政府は28年度までにレーダーと光学をそれぞれ4機ずつ、撮影データを大量かつ迅速に送る「データ中継衛星」の2機も加えた計10機(耐用年数超えを除く)体制を計画。地球上の全地点を光学とレーダーでそれぞれ1日2回以上撮影できるようにする。

 H2Aは1号機打ち上げを来月に控える新型基幹ロケット「H3」に合わせて、23年度の50号機で終了予定。46号機は当初25日に打ち上げる計画だったが、寒波の影響で天候悪化が予想されたため、延期。打ち上げ直前には上空警戒区域にヘリコプターが侵入し、さらに時間を1分ほどずらした。