絶滅危惧種のでっかいコウモリ、ひょっとしたらいるかも… 手がかりの植物「イルカンダ」大量発生で期待高まる

 2023/01/28 11:03
座学研修会で奄美群島認定エコツアーガイドらを前にオオコウモリの大きさを説明する伊澤雅子さん=徳之島町亀津の徳之島町文化会館
座学研修会で奄美群島認定エコツアーガイドらを前にオオコウモリの大きさを説明する伊澤雅子さん=徳之島町亀津の徳之島町文化会館
 絶滅危惧種のクビワオオコウモリが鹿児島県の徳之島で生息している可能性が高まり、専門家や自然保護団体が調査を進めている。奄美大島と徳之島では2013年に天城町で死体が1匹発見されたのみで、これまで生きた姿は確認されていない。関係者は「今年こそ発見を」と意気込んでいる。

 オオコウモリは南西諸島の広い範囲に生息。1晩に5キロほど飛び、強風に乗れば数十キロ移動できる。植物の果実や葉などを食べ、昼間は木の高い場所で体を丸くして休む。

 昨年春、天城町の秋利神キャンパスパーク近くの林道で木性ツル植物イルカンダが大量に実を結び、徳之島で生息している可能性が指摘された。奄美・沖縄の世界自然遺産地域科学委員会委員の伊澤雅子さん(68)=琉球大名誉教授=によると、結実には大型動物が花弁を押し広げて雄しべと雌しべを露出させる必要があり、沖縄では蜜を吸いにきたオオコウモリがその役割を担う。ただクマネズミなど他の動物の可能性もあるという。

 自然保護活動に取り組むNPO法人「徳之島虹の会」が21日、座学研修会と秋利神での調査体験会を開催。伊澤さんが「木を見上げるのではなく、ペリットと呼ばれる果実や木の食べかすを探し、細い舌の形が残っていないか確認して」と説明した。

 体験会で、林道に落ちたイルカンダのサヤを見つけた徳之島町亀津の中島晴貴君(9)は「コウモリがいると分かれば、家族でまた来たい」と笑顔を見せた。