捨てるなんてもったいない…廃棄する卵を麹の力で豚の飼料に 「黒麹たまご豚」でブランド化目指す

 2023/01/28 11:32
破砕卵とこうじの飼料を食べて育つ「黒麹たまご豚」(源麹研究所提供)
破砕卵とこうじの飼料を食べて育つ「黒麹たまご豚」(源麹研究所提供)
 麹(こうじ)を使った飼料を開発・製造する源麹研究所(鹿児島県霧島市)は、製造過程で捨てられる卵(破砕卵)を飼料にすることに成功し、この飼料をエサに豚を育てている。国産資源を活用したブランド豚「黒麹たまご豚」として商品化を目指す。

 鶏卵生産のサンエッグ(南九州市)から「1日に200キロも捨てる卵が出ている。なんとか利活用したい」と相談を受け、開発に取りかかった。生産工程でひび割れたり、中身が飛び出たりした卵を引き取り加熱、殺菌。こうじの種を振りかけて、発酵熱で乾燥する工程を繰り返すことで飼料の「たまご麹」ができるという。

 卵の生産量が全国2位の鹿児島県。源麹研究所によると県内の破砕卵は1年で960トンほど発生している。全て処理できればSDGs(持続可能な開発目標)にも貢献でき、飼料価格が高騰する中で農家のコスト減にもつながるという。

 20日に同社であった「黒麹たまご豚」の試食会には県内の卵や飼料、流通企業の関係者らが参加した。「黒豚と遜色ないうま味がある」「脂身が通常のものより甘く感じる」と味を評価する声が聞かれた。

 山元文晴副社長は「商流に乗せるにはまだ3合目。養豚時の飼料配合の割合や、生産工程のコストなどまだ検討すべき項目は多い。今後はイベントへの出店を通し『黒麹たまご豚』の認知度も広げていければ」と課題を話した。