祖母の話聞き「原爆 もっと知りたい」 小学4年生、詳細調べ学習コンクールで最優秀 当時の惨状や後遺症…広島も訪問し資料収集 南さつま

 2023/01/28 21:15
キノコ雲をイメージしてカラフルな切り絵で表紙を描いた岸真理佳さん(左)、姉の和菜佳さん=南さつま市加世田川畑
キノコ雲をイメージしてカラフルな切り絵で表紙を描いた岸真理佳さん(左)、姉の和菜佳さん=南さつま市加世田川畑
 鹿児島県の南さつま市立図書館などが主催した「図書館を使った調べる学習コンクール」で、広島原爆を調べた同市の阿多小学校4年岸真理佳さん(10)が最優秀賞を受け、全国コンクールで佳作に入った。図書館から関心が広がり、被爆地を訪問。原爆の惨状、後遺症まで詳細に調べた。「繰り返してはならない」と戦禍を伝える意識を高めた。

 戦争を扱った授業や体験した祖母の話を聞き、「もっと知りたい」と思った。図書館で関連の本を読み、原爆が投下された事実に心が留まった。家族が働く広島県で昨夏、平和記念資料館や原爆ドームを見て回り、原爆の資料を収集した。

 爆風の威力、焼けただれた被爆者、一瞬で破壊された街の記録は「怖かった」が、文章や図解、写真で原爆の実相を浮かび上がらせた。参考文献17点、利用した施設は15カ所を数え、41ページの作品にまとめた。

 爆心地に最も近い小学校も訪ね、同年代の400人が犠牲になった史実に胸を痛めた。被爆者が差別や偏見を受けてきた歴史、黒い雨の影響で現在も苦しむ人がいることを重く受け止め、「私にできるのは正しく伝えること」と結んだ。

 作品のタイトルは「戦争を伝える(1) あの日、広島であったこと」とし、戦争を深く学習して続編を書く予定だ。「学んだことを評価してもらいうれしい。もっと調べてみんなに戦争の悲惨さを分かってほしい」と意欲を示す。姉で6年の和菜佳さん(12)も優秀賞を受賞した。