精神科病院を撤廃したイタリアの医療思想とは 病院に頼らず地域で暮らす患者 現地滞在した医師が本出版
2023/01/30 08:30

「イタリア地域精神医療の思想と実践」を出版した森越まや医師
1978年に精神科病院撤廃を法制化し、99年までに公立精神科病院を全廃するまでのイタリアの歴史、患者の生活や支援の在り方を紹介。国内でも改革が進む北部のトリエステ、トレント2都市の病院や行政、居住、就労といった現場で当事者や支援者ら50人と対話し、病気の捉え方や日本への提言をつづった。
20日間の滞在を通じ、「学んだのは病を得た人との向き合い方だった」と語る。イタリアでは病気を人生の一部として受け入れ、患者の尊厳や市民としての権利を重視する。「発症や症状悪化という人生の危機を乗り越えたら、本人が望む生き方に寄り添っていた」と振り返る。医師を頂点としないチーム医療も印象的だったという。
日本の精神科入院患者は約27万人に上り、ほぼ半数は本人の同意なしで強制的に入院させる医療保護入院とされる。「制度や国が違っても、患者の尊厳を守る良い治療は変わらない。日本にも良い治療をしたいと働いている人はたくさんいて、できることを共に探したい」と話す。
本を発行したラグーナ出版(鹿児島市)は2008年に自身が設立し、精神疾患のある人が多く働いている。四六判317ページ、2970円。
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