あえて風化しやすい素材を使用…加治木・龍門司焼の新しい看板、「変化する伝統」を表現してみた

 2023/01/30 11:29
リニューアルされた龍門司焼企業組合の看板=姶良市加治木
リニューアルされた龍門司焼企業組合の看板=姶良市加治木
 鹿児島県姶良市加治木の龍門司焼企業組合に新たな看板がお目見えした。陶器の原料となる粘土や土を7層に突き固めた版築の塀に「龍門司焼」と大書されている。あえて風化しやすい素材を使い、「変化する伝統」を表現している。

 塀は2022年末にリニューアル。高さ1.3メートル、幅4メートル。土や粘土を層状に突き固めており30センチの厚みがある。塀の上には登り窯で焼いた陶板80枚を載せた。書道家の松下美紅さんが書いた「龍門司焼」の文字を鉄板に加工し取り付けた。

 330年余りの伝統がある龍門司焼は、新しい技術や意匠を取り入れながら発展してきた。看板制作でも、風化したりさびが出たりする土や鉄などの素材を選んだ。廃棄する原料や陶片も使い、持続可能な開発目標(SDGs)も意識した。同組合の川原竜平代表理事(45)は「伝統は固定しないもの。変化を楽しみ、新しい挑戦をしていきたい」と話した。