教育活動60年「わんぱくおばさん」が引退 教員経てこども園で農業や食育「人生の楽園だった」

 2023/01/30 20:45
別れを惜しむ園児と抱き合う角田ミヨ子さん=南大隅町根占川北の根占こども園
別れを惜しむ園児と抱き合う角田ミヨ子さん=南大隅町根占川北の根占こども園
 鹿児島県南大隅町根占川北の根占こども園のスタッフで、「わんぱくおばさん」と呼ばれ親しまれた角田ミヨ子さん(77)=鹿屋市寿4丁目=が高齢を理由に1月末で引退する。小学校の教員を経て、同園では農業や食育活動に取り組み、教育者として足かけ60年尽力した。「周囲に恵まれ、この年まで働けたことは幸せ」と喜んでいる。

 角田さんは2009年から園内の農園で子どもたちと一緒に、大根やピーマンなどの野菜を育ててきた。園児が呼ぶ「わんぱくおばさん」の愛称が定着した。

 根占出身で地元の南大隅高校を卒業し神川小(錦江町)で助教諭に。小学校教員となり、県内で定年まで勤務。古里の宮田、城内、滑川小(現在はいずれも閉校)で補助教員として3年間働いた。その後、高校の同級生で、園を運営する社会福祉法人「栄光会」の中村剛理事長(77)から招かれた。

 角田さんは月に15日ほど、鹿屋市から車で片道50分かけて園に通う。「人生の楽園と言えるほど充実していた」。ただ、今月20日に77歳となり、年齢的にも引き際と判断した。

 25日、園児と一緒に大根を収穫した後に子どもたちに別れを伝えた。花束を手渡した年長組の関真希ちゃんは「優しい人だった。寂しい」。角田さんは「育てた野菜を『おいしい』と言ってくれるのがうれしかった。野菜が好きな元気な大人に育って」と園児にエールを送った。

 あわせて読みたい記事