国政選挙だけじゃない…「1票の格差」県議選でも2倍超が常態化 「離島、過疎地の声を県政に」と見直し進まず

 2023/02/02 07:26
 鹿児島県議選(定数51)の「1票の格差」は現行の区割り・定数となった2011年改選以降、最大2倍超の状況が常態化しており、このまま4月の改選を迎える。最大2.08倍だった21年衆院選で「違憲状態」とする司法判断が全国で相次ぐ中、改選後は区割り・定数の見直しが大きな課題となりそうだ。

 10年以降3回実施された国勢調査から南日本新聞が試算した。選挙区別で議員1人当たりの人口が最少の西之表市・熊毛郡区(定数2)と他区を比較。志布志市・曽於郡区(同1)が3回連続2倍を超え、20年調査結果では2.11倍だった。

 県議会は22年3月、「離島や過疎地域の声を県政に的確に反映することが不可欠」などとし、定数や区割りを維持して今回の改選を迎えることを決めた。1票の格差は他県に比べて特段大きくないとした上で「任意合区の必要性は低い」と意見集約している。

 県議会が現状維持を優先した結果、選挙区の定数を決める基準と、実際の定数がかけ離れた選挙区も生まれている。

 選挙区の定数は「配当基数」が基準。各区の人口を議員1人当たりの県内人口(3万1765人)で割って算出する。0.5未満だった場合、公選法は強制合区の対象とする。試算では定数1の枕崎市区(配当基数0.63)と薩摩郡区(同0.64)が0.5に近い。

 また、鹿児島市・鹿児島郡区の配当基数は18.71で定数19のレベルだが、17にとどまる。一方、いずれも定数2の西之表市・熊毛郡区、日置市区、奄美市区の配当基数はそれぞれ1.25、1.48、1.49で、人口比例に基づく県議会内のルールに従えば1人区だ。

 県議選は、選挙区ごとの定数を人口比例としつつも「地域間の均衡を考慮して定めることができる」(公選法)と特例が認められている。ただ、県立短期大学の山本敬生准教授(行政法)は「ぎりぎり許されているものであり、放置状態はいかがなものか」と疑問視。「(是正に向けた)政治的義務はある」と指摘する。