完成前に全12区画完売、都城市の工業団地が異例の人気 進出企業がそろって挙げた理由は「交通アクセス」

 2023/02/02 09:00
都城インター工業団地桜木地区。約1キロ先にインターチェンジがある(都城市提供)
都城インター工業団地桜木地区。約1キロ先にインターチェンジがある(都城市提供)
 都城市が宮崎自動車道の都城インターチェンジ(IC)近くに整備した工業団地は、完成を前に全12区画が早々と埋まった。人気の大きな理由が交通網が充実した立地。同ICは2024年度中に地域高規格道路で、東九州自動車道の志布志IC(鹿児島県)とつながる予定だ。市は近くに新たな団地の整備も検討している。

 12社が進出する「都城インター工業団地桜木地区」は総面積28.5ヘクタール、分譲面積19.8ヘクタール。総事業費は約24億円。都城ICから約1キロの距離で、都城志布志道路が志布志港まで全線開通すれば約40分で結ぶ。

 団地は19年度に整備を開始。21年4月から分譲申し込みを受け付けると問い合わせが相次ぎ、完成半年前の22年2月には全12区画で優先交渉者が決定した。

 進出する12社は1月31日、市と立地協定の締結に臨んだ。各社が進出理由に挙げたのが交通網。志布志港や宮崎港へのアクセスの良さから、海上運送との連携も視野に入れている。残業規制強化に伴って運送業界の人手不足が懸念される「2024年問題」を挙げ、解消につなげたいという声も聞かれた。

 クレーンリースなどの外薗運輸機工(薩摩川内市)は、倉庫業中心の物流事業を展開予定。外薗直樹社長(46)は「横だけでなく都城志布志道路で縦のラインもつながる。都城は今後、鳥栖(佐賀県)のような物流拠点になるだろう」と期待した。

 全12区画で24年10月までに操業を開始する見通し。全体の合計で240億円超の設備投資と、約400人の新規雇用を予定する。池田宜永市長は「完成前に埋まるなど話題になり、市の付加価値も上がった。地域の元気の源になる」と感謝した。

 注目の背景には交通インフラの充実はもちろん、用地取得の補助金や固定資産税免除など「全国でもトップクラス」(市の担当者)という条件の手厚さもあるとみられる。問い合わせは今も続いており、市は需要があるとみて都城ICをはじめ市内の各IC付近で新たな工業団地造成を検討している。

 桜木地区へのその他の進出企業は次の通り(順不同)。

 児湯食鳥▽草水運送▽ランテック▽都城ヤクルト販売▽サン・ダイコー▽新原産業▽サンネット▽マキタ運輸▽山崎▽マルゼングループ協同組合▽九州コガネイ

 ■都城志布志道路 都城ICと志布志港を結ぶ自動車専用道路。総延長44キロのうち、現在は乙房(都城市)-志布志の計約35キロで直通利用できる。未開通区間のうち都城-乙房(5.7キロ)は2024年度開通予定。志布志-志布志港(3.2キロ)の開通時期は未定。