障害者の進学「自由に選べるシステムを」 夢は声優、離島出身の生徒が苦労経験を基にプレゼン、全国最高賞に

 2023/02/03 15:50
文部科学大臣賞に選ばれた福留音亜さん=鹿児島市の鹿児島養護学校
文部科学大臣賞に選ばれた福留音亜さん=鹿児島市の鹿児島養護学校
 鹿児島市吉野1丁目の鹿児島養護学校高等部2年の福留音亜(のあ)さんが、自身の経験を基に社会や地域に対して提言する「ミラコン2022~未来を見通すコンテスト~プレゼンカップ全国大会」で、最高賞の文部科学大臣賞に選ばれた。福留さんは、生徒が校区や学科を自由に選べる進学システムの重要性を訴えた。

 全国特別支援学校肢体不自由教育校長会が主催。全国39校から、発表を5分以内にまとめた動画98点が集まった。昨年12月、全国7地区の1次審査を通過した7人が、東京の都立光明学園であった最終審査にオンラインで参加した。

 福留さんは、地元の奄美大島から学区外の鹿児島養護学校を受験したが、住む場所や身元引受人を探すのに苦労したという。学区の撤廃に加え、情報処理科や機械科といった専門学科の設立を提言し、生徒が希望する学習や生活ができる環境づくりを求めた。

 担任の押川祐太教諭(37)の勧めで昨夏に応募を決意。約1カ月間プレゼンテーション資料の試作や発表練習を重ね、応募した動画では、はきはきとした発表を披露。その結果、会場の評価で選ばれる観客賞も受賞した。福留さんは「正直驚いたが、頑張って良かった」と喜ぶ。

 現在は声優になる夢をかなえるために月3回、プロのレッスンを受けている。福留さんは「障害がある生徒が『自分にもできる』と自信を持つきっかけになりたい」と話した。