車いすで楽しくイチゴ狩り 通路は広々、床はフラット 棚の高さにも工夫 バリアフリー観光農園、4日オープン 南さつま

 2023/02/03 21:34
車いすで楽々動けるイチゴハウス=南さつま市加世田高橋
車いすで楽々動けるイチゴハウス=南さつま市加世田高橋
 車いす利用者でも支障なくイチゴ狩りを楽しめるバリアフリーの観光農園「サナスビレッジ」が4日、鹿児島県南さつま市加世田高橋にオープンする。通路を広く取り床をフラットに整備し、車いすでも動きやすくした。2日、開園式があり利用者は「新たに体験できる場所ができてうれしい」と喜んだ。

 本坊グループの食品メーカー・サナス(鹿児島市)が開設。ハウスは約20アールで、幅約3メートルの通路が中央を通る。通路左右に設置した栽培用の棚と棚の間隔も1メートル超あり、車いすが楽々通れる。地上から1メートル超の高さで栽培しており、車いすに座った目の高さでイチゴ狩りができる。地面は車輪が土にのめりこまないようローラーで固め、シートを敷いた。

 観光農園は限られた面積で生産量を上げるため通路などを狭めるケースが多い。サナスは開設前、車いす利用者に視察してもらい改善へつなげた。

 鹿児島市のNPO法人自立生活センターてくてくの福嶋哲平さん(42)は病気で足が動かなくなり、3年ほど前から車いす生活を送る。「車いすでは、遊びに行ける場所が少なくなった。利用者に配慮した施設で、行動範囲が広がり助かる」と話す。

 6品種8500株を育てており、12月~翌年5月開園する。規模拡大して将来はブルーベリーなども栽培する計画だ。サナスの本坊一浩社長(63)は「お年寄りやベビーカーでも心おきなく利用できる。外出しやすい環境づくりに役立てば」と願った。