【鳥インフルエンザ】2万4000羽殺処分で「数百万羽の肉用鶏消える計算」 種鶏になるひなを育てる農場で発生…鶏肉生産に影響恐れ 鹿屋・串良

 2023/02/04 08:30
鳥インフルエンザの発生が確認され、鶏の殺処分が進む鶏舎=3日、鹿屋市串良(県畜産課提供)
鳥インフルエンザの発生が確認され、鶏の殺処分が進む鶏舎=3日、鹿屋市串良(県畜産課提供)
 3日に鳥インフルエンザ発生が確認された鹿児島県鹿屋市串良の養鶏場は、肉用鶏の親(種鶏)になるひなを育てる「育すう農場」だった。種鶏関連農場の防疫レベルは極めて高いとされるだけに、関係者の衝撃は大きい。種鶏候補だった2万4000羽は全て殺処分されるため、今後の鶏肉生産に影響が出る恐れもある。

 育すう農場で育てられた種鶏は通常、280日間にわたって卵を産み続け、農家に肉用鶏を供給する。種鶏育成には半年ほどかかるので、殺処分でひながいなくなると出荷計画が大きく狂う。県内養鶏関係者の一人は「今回の殺処分で数百万羽の肉用鶏が消えた計算になるのではないか」とみる。

 このため、育すう農場や種鶏場は、肉用鶏を飼う農場より高いレベルの防疫対策が取られている。高病原性鳥インフルエンザは2020年以降、全国で計151例発生しているが、種鶏関連農場での発生は今回を含めて9例しかない。

 特に県内では過去に例がなく、先の関係者は「率直に言ってショックだ。従来の対策だけで防げるのかどうか、恐怖さえ感じる」と肩を落とす。

 養鶏業界は種鶏生産から鶏肉・卵出荷までを一貫して手掛けるグループ化が進んでいるとはいえ、種鶏が産んだ卵は他社に販売されることもある。別の関係者は「長期的にみれば、県内の肉用鶏生産に影響が出る可能性がある」と懸念する。