30年ぶりの新たな大型国産ロケット「H3」1号機、13日宇宙へ 打ち上げ費用の「低価格化」で世界に挑む

 2023/02/06 09:20
H3ロケットの最終燃焼試験=2022年11月7日、南種子町の種子島宇宙センター
H3ロケットの最終燃焼試験=2022年11月7日、南種子町の種子島宇宙センター
 日本の新たな大型基幹ロケット「H3」1号機が13日、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターから打ち上げられる。フルモデルチェンジした国産液体燃料ロケットの打ち上げは30年ぶり。エンジン不具合による2度の打ち上げ延期など困難を乗り越え、宇宙を駆ける。

 H3は、安定的な打ち上げによる「高信頼性」、打ち上げ費用の「低価格」、利用者の注文に合わせ機体サイズやエンジンを変更する「柔軟性」をコンセプトに掲げる。運用中のH2Aと比べて推力は1.4倍。打ち上げ費用は半額の約50億円を目指す。2014年から宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が開発を手がける。

 国産の大型液体燃料ロケットの系譜は1994~99年に打ち上げたH2にさかのぼる。1機当たりの打ち上げ費用が約190億円と割高のため、基本能力やサイズは大きく変えず、輸入部品を使うなど低価格化を図ったのがH2Aだった。

 H2Aは2001年から今年1月の46号機までの成功率が97.82%。世界的にも高い信頼性を誇る。国際宇宙ステーション(ISS)へ補給機「HTV」(こうのとり)を運ぶため打ち上げ能力を増強したH2Bも09~20年まで運用された。

 H2Aの打ち上げ費用は約100億円に抑えたものの、それでも世界水準からは割高だった。さらなる低価格化を目指してH3の開発が進められた。現在開発中で23年度の打ち上げを目指す固体燃料ロケット「イプシロンS」との2本柱で、日本の宇宙開発を支える。

 H3の1号機は地球観測衛星「だいち3号」を載せ、その後の機体ではISSや米国主導の月周回基地ゲートウエーに物資を届ける新型補給機「HTV-X」を搭載予定。国際貢献の役割も担い、JAXAの岡田匡史プロジェクトマネジャー(60)は「多くの人の期待に応えられるよう、まずは1号機を着実に成功させたい」と話した。