食料安保の強化となるか…鹿児島の堆肥と宮城の稲わら 相互に出荷 県またぐ耕畜連携、実証実験スタート

 2023/02/07 10:03
堆肥ペレットの出発を記念してテープカットする関係者=6日、鹿児島市のJA物流かごしま
堆肥ペレットの出発を記念してテープカットする関係者=6日、鹿児島市のJA物流かごしま
 JA鹿児島県経済連は宮城県のJA全農みやぎと連携し、ペレットと呼ばれる粒状にした堆肥と、飼料用の稲わらを互いに出荷し合う実証試験を始めた。県をまたいだ広域の耕畜連携を推進する。鹿児島市のJA物流かごしまから6日、堆肥ペレットの第1便20トンが宮城県へ出発した。

 ロシアによるウクライナ侵攻や急激な為替相場の変動により、農業に欠かせない飼料や肥料の原料が高騰している。多くを輸入に頼る国内の生産現場には安定供給への不安もある。食料安全保障の強化に向け、全国各地に偏在する地域資源の有効活用を目指す。

 実証では、畜産が盛んな鹿児島県と米作りが盛んな宮城県のJAが連携。鹿児島からは県経済連が2022年7月に開発・発表した堆肥ペレット60トン、宮城からはロール状にした稲わら140トンを輸送する。20トントレーラーや貨物列車など複数の手段を試す。

 堆肥ペレットは宮城県の水田で飼料用の稲やトウモロコシ生産に、稲わらは鹿児島県の肉用牛への飼料として利用される予定。長距離輸送のコストや保管場所の確保、生産への影響といった実用化への課題を検証する。

 出発式には両県の関係者が出席した。県経済連の出原照彦代表理事理事長はあいさつで「地域資源を最大限活用し、食料安全保障問題解決の一助となることを期待している」と述べた。

 全農みやぎの大友良彦県本部長は、両県の距離も海外よりは圧倒的に近いとして、「解決すべき問題は数多くあるが、果敢に挑戦し、地域同士の助け合いを形にしていきたい」と話した。