サツマイモ基腐病対策の効果が現れる 鹿児島県内の22年収穫量6年ぶりに増加 10%増の21万トン

 2023/02/08 07:20
 農林水産省は7日、2022年産サツマイモの収穫量を公表した。鹿児島県は前年比10%増の21万トンで全国トップ。県内で拡大していたサツマイモ基腐(もとぐされ)病の防除徹底に加え、原因菌を広げる雨が少なかったことから6年ぶりの増産となった。

 基腐病はサツマイモを枯死させる病害で、県内では18年に初めて確認された。21年産は記録が残る1948年以降、初めて20万トンを割り込むまで被害が拡大。県は農家指導・防除実証チーム拡充などに取り組み、22年産の発生面積は半減していた。

 農水省によると、22年産の県内作付面積は1万ヘクタールと3%減ったものの、10アール当たり収量が2100キロ(14%増)まで回復して増産につながった。ただ、でん粉原料用の面積は2490ヘクタール(39%減)となり、収穫量も5万3500トン(27%減)と大きく後退した。焼酎用と競合したとみられる。

 収穫量、10アール当たり収量とも回復傾向にあるが、基腐病が確認される前の水準には届いていない。収穫量2位の茨城県は19万4300トン(3%増)まで伸ばし、18年産まで10万トン以上あった鹿児島との差は1万5700トンとなっている。

 県農産園芸課は「(6年ぶりの増産は)防除意識が各農家に浸透した結果と考えられるが、基腐病はまだ終息したわけではない。23年産も油断することなく、対策を徹底してほしい」としている。