陳情は14回連続「継続審査」…政務活動費のネット公開に消極的な鹿児島県議会 「説明責任の放棄としか映らない」

 2023/02/08 21:00
議会事務局で閲覧できる政務活動費収支報告書などのファイル=1月31日、鹿児島県庁議会棟
議会事務局で閲覧できる政務活動費収支報告書などのファイル=1月31日、鹿児島県庁議会棟
 鹿児島県議会には2022年12月まで、年4回の定例会のたびに14回連続で「継続審査」とされている陳情がある。議員が使った政務活動費の領収書について、ホームページ(HP)での公開を求めている。

 「他都道府県の動きを注視し、総合的に判断する必要がある」。この陳情を審査した昨年の9月定例会の総務警察委員会で、最大会派の自民はこれまで同様、消極的意見を述べるにとどまった。直近の動きとして、山形が都道府県で23番目にHP公開を決めたとの報告があったが、議論はすぐに終わった。

 政活費は議員報酬とは別に、調査研究や活動に必要な経費の一部を税金から充てる。会派ごとに議員1人当たり月額30万円。領収書や収支報告書は議会事務局を訪ねると閲覧できる。

 ただし、21年度分だけでファイル17冊に計1万1752枚。写しの入手には1枚10円かかる。負担を考えれば透明性の確保には遠い。

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 全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)が昨年9月に発表した政活費情報公開度ランキングで、鹿児島県議会は都道府県別で38位だった。100点満点の28点。ネット公開に配点の半分を充てるとあって、点数の低さが際立つ。

 「税金を住民のためにどう使ったか。信頼を勝ち取るために、住民目線で入手の敷居を低くすることが重要だ」。集計した児嶋研二代表幹事はネット公開の意義を説く。鹿児島の現状は「説明責任の放棄としか映らない」と手厳しい。

 自民内にもHP公開に理解を示す議員はいるが、中堅の一人は「痛くもない腹を探られるようで嫌」と抵抗感を隠さない。賛成する非自民の議員が「税金を使う以上、当然の姿」(無所属)など、きっぱりと話すのとは対照的だ。

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 「HP公開は全国的な流れ。異論はなかった」。来年度から公開する山形県議会で、準備を進めてきた検討委員長の伊藤重成議員は経緯を振り返る。21年、ベテランが事務所スタッフの雇用を装って1200万円超を受給した問題が発覚したのがきっかけだった。「公金を使う意識が緩かった」と悔いる。

 伊藤氏は、四半期ごとの政活費交付に関する条件を厳格化し、事務手続きに問題がないかをチェックする仕組みも導入したと説明。「他県も対岸の火事でない」と述べ、透明性を確保する必要性を訴える。

 鹿児島県議会は20日から今の任期中最後の定例会を開く。陳情をまたも継続とすれば審査未了になり、4月の改選後には引き継がれない。陳情を出した内田伸子さん=鹿児島市=は早くも再提出を視野に入れる。そして嘆いた。「不正が出るまで変われないのか」

(連載「県議会考 2023かごしま統一選」より)