世界で初確認、星の成長にはやっぱり磁力線が影響していた 鹿児島大大学院など研究チーム

 2023/02/09 08:30
星が形成される様子を可視化した図。原始星と周りにあるガスやちりを示す緑の部分が、赤で示した磁力線を巻き込んでいる(鹿児島大大学院提供)
星が形成される様子を可視化した図。原始星と周りにあるガスやちりを示す緑の部分が、赤で示した磁力線を巻き込んでいる(鹿児島大大学院提供)
 鹿児島大大学院などの研究チームは8日、電波望遠鏡の観測データを基に、通常N極からS極への磁気の流れを示す磁力線を中心部に巻き込みながら星が形成される様子を世界で初めて確認した、と発表した。磁力線はこれまで、星の誕生や成長に重要な役割を果たしていると予測されていた。

 研究したのは、同大大学院理工学研究科博士前期課程修了生の深谷紗希子さん(25)=現・NEC航空宇宙システム=と、同科の新永浩子准教授らのチーム。予測に基づき、地球から約456光年離れたおうし座分子雲内のコアと、さらに内部の原始星を米ハワイなどにある電波望遠鏡で観測した。分子雲は星のもととなる水素といった分子ガスやちりが集まる物体で、コアは特に高密度に集まった極低温の部分。

 観測で、重力でガスとちりが集まり原始星が成長する際に磁力線を中心へ巻き込む現象を確認。スーパーコンピューターでシミュレーションを重ね、その様子をモデル化した。

 同日、鹿児島市の鹿大での会見にオンラインで参加した深谷さんは「宇宙の謎を解明する一役を担えてうれしい」。新永准教授は「太陽系が誕生した経緯を知る第一歩。地球上の生命の起源に迫る意義がある」と話した。論文は日本天文学会発行の欧文学術誌「PASJ」に同日付で掲載された。