4500年前、縄文中期の木製編みかご出土 鹿児島県内で初 炭化していないドングリも 姶良・前田遺跡

 2023/02/10 11:00
低湿地から出土した縄文時代中期の編みかごやドングリ=9日、姶良市
低湿地から出土した縄文時代中期の編みかごやドングリ=9日、姶良市
 鹿児島県姶良市教育委員会は9日、同市住吉の前田遺跡で、縄文時代中期後半(約4500年前)の木製の編みかごが出土したと発表した。県内で縄文時代の編みかごが見つかるのは初めて。

 市教委によると、編みかごは遺跡内の低湿地から計14点出土した。うち保存状態の良いものは縦横いずれも約18センチで、押しつぶされた形で見つかった。テイカカズラやヒサカキが使われ、復元すれば高さ約15センチの逆円すい状になるという。ウドカズラの気根や、カシ類の幹を薄く割り裂いた「へぎ材」で編んだかごもあった。

 ほかに約11万点のドングリや、ドングリの貯蔵や選別用とみられる土坑(どこう)72基、1000点以上の木材が出土した。炭化していないドングリが土坑などからまとまって見つかるのも県内初とみられる。ドングリは、あく抜きをせずに食用に使えるイチイガシが大部分を占めるという。

 縄文時代の編みかごは、九州では福岡や熊本の低湿地で出土している。鹿児島県内で同時代の低湿地遺跡が調査されるのは極めてまれで、市教委社会教育課の岩元康成主査は「当時の自然環境や、どのような木を選んで利用していたか分かる貴重な資料」と話した。

 前田遺跡は、水田の整備に伴い市教委が2019年と20年に調査。出土品は、23年秋に予定する発掘調査成果展で一般公開する。