「稼げない」は先入観? タクシー業界の人手不足かなり深刻 予約の2~3割は断っている状態
2023/02/12 21:30

鹿児島市のJR鹿児島中央駅前客待ちするタクシーの列(資料写真)
「『稼げない』という先入観を持たれ、高収入をうたっても人が集まらない」。南州タクシー(鹿児島市)の佐藤充郎社長は会社の現実と世間のイメージとのギャップを嘆く。
同社は運転手不足のため、昨年12月は予約の2~3割を断らざるを得なかったという。一方、同月に60万円以上売り上げた運転手が150人のうち約半数。そのうち100万円以上は8人に上る。「稼げる仕事」と佐藤社長は力を込める。
乗客が多い理由として挙げるのが、独自の配車システムと乗務員の質だ。5人態勢の配車室では、着信の番号から乗客名やよく乗降する位置を一目で把握。近隣の空車へ迅速に割り振る。接客マナー研修を徹底し、「南州にしか乗らない」という顧客も多いという。ほかに乗客の緊急連絡先やかかりつけ病院を記した「あんしんカード」で、65歳以上は料金が1割引きとなるのも好評だ。
4年前に飲食接客業から転職してきた運転手の男性(48)は、入社月から月給が前職を10万円ほど上回った。「頑張るほど結果がついてくる業界だ」
ただ、データを見る限り待遇は厳しい。全国ハイヤー・タクシー連合会によると、2021年の全国のタクシー運転手の賃金は1人当たり年間約280万円。全産業平均の約489万円を大きく下回る。
これについて、実態とは異なるという声がある。1日のうち短時間や、週3日といった働き方の人も多いためだ。旭交通鹿児島支社(同市)の穂満淳取締役支社長は「平均で見るとどうしても年収は下がってしまう」と指摘する。同支社の運転手も50人のうち20人が時短勤務という。
8割以上は未経験で入社した。「経験がなくても、3カ月という長い研修期間がある。稼いで家族を養いたい人や自由な時間を増やしたい人など、柔軟に働けるのはタクシー運転手の魅力だ」と話す。
その上で穂満支社長は強調した。「1日に何度も『ありがとう』と言っていただける。こんなやりがいのある仕事はほかにない」
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