1人乗りアウトドアEV、VRサーキット…トヨタ車体研の「業務外だけどやってみようプロジェクト」に若手が奮起

 2023/02/13 11:24
アウトドア用に改装した「ワイルドコムス」と開発チーム=霧島市国分上之段のトヨタ車体研究所
アウトドア用に改装した「ワイルドコムス」と開発チーム=霧島市国分上之段のトヨタ車体研究所
 アウトドア仕様に改装した1人乗り小型電気自動車(EV)、車づくりのプロによるVR(仮想現実)のドライブシミュレーター。鹿児島県霧島市国分上之段のトヨタ車体研究所で、社員の業務外の挑戦が社内外で人気を集めている。社内活性化を目指し、会社から開発費などが支給される「言ってみよう・やってみようプロジェクト」の一環だ。

 主に宅配や営業、訪問介護などに使われている1人乗りの小型電気自動車「コムス」。設計者ならではの観点で生まれ変わらせたのは、永仮健康さん(32)と西小野建吾さん(28)の2人だ。

 自身の使用感やアンケート結果を基に車体を改良した。収納場所やドア、角張ったパーツを取り付けたり、黒を基調に塗り替えたりとデザインを刷新。ソロキャンプなどアウトドアでの活用を想定し「ワイルドコムス」と名付けた。

 VR(仮想現実)ゴーグルを装着し、ハンドルを握って世界中のサーキットを運転できるシミュレーターを開発したのは、相星和輝さん(37)、勝田修平さん(34)、竹之下賢太さん(34)の3人。

 新型コロナ下、テストコースで車両の評価に立ち会う機会が減った。技術者が運転を体感できる場所をつくりたい、免許を持たない若い世代にも運転の楽しさを知ってほしい、との思いが込められている。

 ともに販売は予定していないが、「かっこいい」「楽しい」とイベントや社内見学で人気を博しているという。

 開発当時両チームの上司だった開発戦略部の福元健一さん(50)は「技術力を磨くきっかけになる。今後も若手のチャレンジを期待したい」と話している。