人口1.4万人の市に数千人の作業員がやって来る…ごみ処理、水道は大丈夫? 地元で高まる不安、責任はどこに【馬毛島基地着工1カ月】
2023/02/12 11:00

馬毛島の基地工事が始まり、漁船に乗り込む工事関係者=1月12日、西之表市の西之表港
「事業主として、作業員の数やスケジュールを把握すべきではないか」。10日、西之表市役所であった防衛省による市議会への説明会。受け入れる側として知りたい情報さえ「確かな人数は…」と口ごもる同省担当者に、市議の1人が語気を強めた。
■現実的課題
人口約1万4000人の同市にとって、作業員の大量流入の影響は計り知れない。とりわけ危惧されるのが生活ごみだ。市内にある種子島清掃センターで処分できる可燃ごみは1日約22トンで、処理量は普段から95%前後に達している。運営する種子島地区広域事務組合は「すでに受け入れの限界」と悲鳴を上げる。
市に長期滞在している作業員の多くは住民票を移さず、転入手続き時の行政サービスの説明を受けていないとみられる。このため、指定ごみ袋を使うルールが守られないケースも散見されるという。
市内各地にはプレハブの作業員宿舎が建てられ、夏場になれば水道に過剰な負担がかかる恐れも出ている。特に市街地近くの下西地区に集中しており、市水道課は「仕事後の入浴時間が重なるといったことで、水圧が弱まることもあり得る」と警戒する。
■責任の所在
こうした不安要素は、市議会への説明会でも取り上げられた。そこで防衛省が示したのが、工事関係者向けに計3000室以上の仮設のプレハブ宿舎を馬毛島に建てる方針だ。その他は「作業員を順次、種子島から移して迷惑をかけないようにする」との説明を繰り返すばかりだった。
終了後、市議からは一様に「納得できる内容ではない」との不満が漏れた。ただ、責任の所在については基地整備計画の賛否両派で考え方が分かれた。
杉為昭議員(賛成派)は「生活への影響は予想されていたことだ。市が現実的な対応を考えておくべきだった」と指摘。宇野裕未議員(反対派)は「国家プロジェクトなのに業者や地元任せでいいのか。市民感覚という点で、東京(防衛省)との距離感が甚だしい」と憤った。
地元は基地工事とどう向き合えばいいのか。市民の安心安全確保をうたった市当局と防衛省の協議は着工後、一度も開かれていない。
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