人口6500人の半数が高齢者、6人に1人は認知症の町 将来も安心して暮らしたい…教育に活路求める
2023/02/14 21:00

子どもたちとお手玉遊びをする認知症カフェのメンバー=錦江町田代麓の大原小学校
「あんたがたどこさ。肥後さ。肥後どこさ」-。8日昼、山あいにある大原小学校に明るい笑い声が響いていた。認知症カフェの高齢者と児童が輪になり、リズム良くお手玉を隣の人に渡していく。手と手が触れ合い会話も弾んだ。
全児童13人が、カフェの6人と15分間、かるたやけん玉などで交流した。3年大浦地駈君は「楽しくて、すぐに時間が過ぎた。また来てほしい」と話した。
カフェは、町の委託を受け、地元のNPO法人「たがやす」が運営する。週1回活動し、今回は児童たちと会えるとあってメンバーもうれしそうだ。卒業生の浜川良子さん(75)は「何十年ぶりに学校に来た。孫みたいな子どもたちと一緒に遊べてうれしかった」と笑顔を浮かべた。その後の座談会では「愉快で楽しいことが長生きの秘訣(ひけつ)」「もっと遊びたい」などの意見が出た。
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町によると、町内の認知症の人は2022年4月時点で547人を数え、高齢者の6人に1人の割合。要介護認定を受けていない当事者を含めると、700人以上と推計される。
南隅地区の高齢化は県内でも著しく、20年国勢調査確定値で錦江町は高齢化率46.6%。隣の南大隅町の49.3%に次ぎ2番目に高い。今後も高まる見通しで対策を迫られていた。
こうした現状を踏まえ錦江町は21年度、認知症になっても安心して暮らせるまちづくりを目指し、普及・啓発に取り組み始めた。小学校の協力も得て、22年度からは町内6校のうち、5校と連携。児童は、若年性認知症の丹野智文さん(48)=仙台市=と交流したり、地元グループ「南の星座」による寸劇を見たりして、当事者に対し「焦らせず、怒らず、優しく接する」大切さを学んだ。
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県内でも認知症サポーター養成講座などの取り組みは広がっており、各校も独自の学習を進めている。
町内でいち早く認知症学習を始めた大根占小は、児童と当事者がスーパーや銀行など5店舗を回り、当事者目線で改善を提言する授業に取り組んだ。池田小は福祉をテーマに1年を通して障害や支援策を学んでいる。
保健行政に詳しい有村智明副町長(63)は「子どもたちは認知症への偏見がなく、すぐに当事者と打ち解けている。当事者も交流を楽しみにしており、生活が改善し、明るくなった人もいる。学校での認知症カフェ開催を増やしていきたいが、それには学校の協力が必要」と強調した。
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