中国念頭、10管と米沿岸警備隊が合同訓練 鹿児島湾で初の国内実施 評論家「海保は軍事面に引き寄せられている」

 2023/02/15 14:54
ロープを使ってヘリコプターから降下し、要救助者を救出する第10管区海上保安本部の機動救難士(10管提供)
ロープを使ってヘリコプターから降下し、要救助者を救出する第10管区海上保安本部の機動救難士(10管提供)
 第10管区海上保安本部と米沿岸警備隊は14日、鹿児島湾で、漂流者を救出する訓練をした。日米の海上保安機関が2022年から共同で取り組む「サファイア」に基づく合同訓練で、国内で実施するのは初めて。海洋進出を強める中国を念頭に、連携強化を図る狙いがあるとみられる。

 沿岸警備隊の巡視船「キンボール」が搭載するゴムボートに漂流者役の2人を引き上げ、10管に応援を要請。鹿児島海上保安部の巡視艇「さつかぜ」と鹿児島航空基地のヘリコプター「まなづる」が出動し、機動救難士がヘリからロープで降り、漂流者を救助した。両機関の計32人が参加した。

 サファイアに基づく訓練はこれまで米海域で2回実施。海上保安庁は「洋上救助に必要な知識や技術を共有でき、信頼関係が深まった」と成果を強調した。

 軍事評論家の前田哲男氏は、沿岸警備隊は米軍の一部門とし、今回の訓練を「台湾危機を唱えて日米が進める南西諸島の防衛強化と無関係ではない」と指摘。「政府は安全保障関連3文書でも海上保安庁と自衛隊の連携強化をうたい、海保は軍事面に引き寄せられている」と話した。