鹿児島観光の再興は「夜の街」次第? 消費単価の高さが魅力…県都でさまざまな仕掛け、新年度から計画

 2023/02/15 21:24
ライトアップされる鹿児島城跡の御楼門と石垣=2021年4月、鹿児島市城山町
ライトアップされる鹿児島城跡の御楼門と石垣=2021年4月、鹿児島市城山町
 鹿児島市はインバウンド(訪日客)需要の本格再開を前に、中心市街地の夜の魅力アップを図る。鹿児島港本港区のベイエリアや甲突川沿い、歴史・文化ゾーンを結ぶ街歩きの仕掛けづくりにも着手。14日発表した2023年度当初予算案に回遊性向上に向けた各種施策を盛り込み、新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ観光鹿児島の再興に本腰を入れる。

 「稼ぐ観光の実現には消費単価の高い夜に街を巡る仕組みが必要」。観光プロモーション課の川畑亮課長は、今後の方向性をこう説明する。

 新年度は「ナイトタイム」をキーワードに実証実験に取り組む計画だ。桜島や本港区北ふ頭などで飲食や体験といった鹿児島ならではの観光コンテンツを提供する。「錦江湾大花火やイルミネーションなどイベントだけに頼らず、民間主導の持続可能な観光を実現したい」と狙いを話す。

 並行して「まちなか」ライトアップの実証実験も実施する。都市景観課によると、歴史、水辺、市街地の3エリアに区分。現在、歴史エリアは御楼門がライトアップされ、その周辺はガス灯で照らされ幻想的な雰囲気だが、照国町の探勝園付近は真っ暗だ。市民や照明デザイナーと街歩きしながら実際に明かりをともし、色などを意見交換する。

 花見で人気の甲突川沿いでは、千本桜再生プロジェクトが始動する。

 公園緑化課によると、1970年代に鹿児島青年会議所などからサクラの寄贈を受け、平田橋から天保山橋にかけて甲突川右岸1.7キロ、左岸2.3キロには計1300本ほどのサクラが咲き誇った。しかしシロアリ被害や寿命で年々減り、現在は500本ほど。

 新年度は樹木の実態調査を進め、10年以内に1000本に再生させたい考え。同課は「観光の新名所にしたい」とする。

 また、再開発が計画される鹿児島港本港区と天文館を結ぶマイアミ通りには飲食店や休憩スペースを設置する社会実験を行い、回遊性の課題を洗い出す。