肥薩おれんじ鉄道 2024年10月にも運賃値上げ 開業以来初めて、物価高・燃料高が経営圧迫

 2023/02/16 09:00
おれんじ鉄道の列車(資料写真)
おれんじ鉄道の列車(資料写真)
 鹿児島県薩摩川内市から熊本県八代市までを結ぶ第三セクターの肥薩おれんじ鉄道(熊本県八代市)は15日、東京都内での会合で、早ければ2024年10月に運賃を値上げする方針を明らかにした。物価高や燃料高に伴う経営圧迫が要因。改定されれば、消費増税に伴う上乗せ以外では04年の開業以来初めて。24年度にはダイヤ改正も行う方針。

 自民党の同鉄道対策議員連盟総会で、古森美津代社長が資料を示した。具体的な値上げ額や区間には言及しなかった。すでに九州運輸局と協議を始めており、23年度から株主の沿線自治体と本格協議に入る。

 同社によると、新型コロナウイルス禍と豪雨災害の影響で20年度は輸送人員が過去最少を記録。燃料費高騰などで21年度の経常損益は5億3500万円の赤字を計上した。22年度は改善傾向が多少みられるが、同社は「厳しい経営状況に変わりはない」としている。

 古森社長は会合で、JR九州から引き継いだ鉄道設備や遊休資産の規模縮小を進めているとし、撤去費用に対する国の支援を要請。運賃値上げについては取材に「利用者、特に通学生やその家族に負担をかけるが、路線維持のため理解をいただきたい」と語った。

 おれんじ鉄道は04年の九州新幹線部分開業に伴い、JR鹿児島線の八代(熊本県八代市)-川内(薩摩川内市)が並行在来線として、JR九州から分離して開業。鹿児島、熊本両県と沿線7市町などが出資し、運行している。