離島の急患搬送、県外自衛隊ヘリ派遣になっても「到着時間は従来と同程度」 鹿児島県、鹿屋分遣隊廃止で通報手続き簡略化
2023/02/16 07:15

海上自衛隊鹿屋航空基地に配備されていた救難ヘリコプターUH60J=2022年3月、鹿屋市の同基地
鹿屋分遣隊の本来の任務は、自衛隊機の事故などが起きた際の捜索・救助だった。防衛省はこの任務を空自に一元化し、同分遣隊を廃止。急患の搬送は宮崎県中部の空自新田原基地と、熊本県中央部の陸自高遊原分屯地の部隊が担うことになった。
新田原は鹿屋と同機種の救難ヘリUH60J、高遊原は輸送ヘリCH47JAが出動する。自衛隊ホームページによると、最大時速はそれぞれ266キロと301キロ。必要に応じて鹿屋基地の第212教育航空隊の哨戒ヘリも出る。
鹿児島県は1月13日、鹿屋基地第1航空群と新たな協定を結んだ。同群司令部が通報を受ける窓口となり、新田原か高遊原に出動を依頼する。県消防保安課によると、種子島までの飛行時間を県防災ヘリの性能(巡航時速260キロ)で単純計算すれば、鹿屋からの16分に対し、新田原は35分、高遊原は53分かかる。
このため派遣要請の手続きを簡略化し、ヘリが出発するまでの時間を短縮する。従来、患者を診た医療機関が県にヘリを要請する際は、提出文書に患者や搭乗医師の氏名など全ての項目の記入が必要だった。
それを改め、病名や患者の状態といった最小限の項目に絞る「仮通報」を導入した。平均約60分かかっていた自衛隊への通報を「相当程度」短縮できるとしている。離島の医師からは「通報するのは命を救えるかどうか時間との勝負になるケースばかりだ。要請から出動までの調整をいかにスムーズにできるかが鍵になる」との声が上がる。
鹿屋分遣隊による搬送は1961年1月の開始以来2600人。年平均約40人に上る。塩田康一知事は本年度、防衛省を3回訪れて「県民の生命に関わる」と搬送体制の維持を求めてきた。海上幕僚監部広報室は体制の変更について、取材に「自治体の要請を受けて搬送しており、見解を述べる立場にない」としている。
県によると、協定を結んで初めての搬送事案が1月31日に発生。新田原の部隊が十島村の患者を運んだ。県は仮通報や搬送に要した時間を「個別事案で明らかにできない」としつつ、制度変更の効果を検証する考えを示した。
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