氷点下、余震、がれきの山…被災地トルコで「ジャポン、ジャポン」の声を聞いた 帰国の海上保安官、捜索振り返る

 2023/02/17 07:15
現地での活動を語る岩城俊祐さん。手はあかぎれだらけだった=16日、東京都千代田区
現地での活動を語る岩城俊祐さん。手はあかぎれだらけだった=16日、東京都千代田区
 国際緊急援助隊・救助チームとしてトルコ・シリア大地震の被災地で行方不明者の捜索に当たった海上保安官14人が帰国し16日、東京都内で会見した。鹿児島市出身で第3管区海上保安本部羽田特殊救難基地所属の岩城俊祐さん(32)も活動。氷点下の寒さに加え、余震が相次ぐ中、「一人でも多く救出したい」と向き合った日々を振り返った。

 地震発生翌日の7日夜、第2陣としてトルコに向かった。到着した空港では住民が拍手で迎えた。活動したのは南部の都市カフラマンマラシュ。れんが造りやもろい鉄筋の建物は積み重なるようにつぶれていた。

 アパートに行方不明者がいるとの情報を受け捜索を始めた。余震で中断を余儀なくされることもあったが、2人の遺体を発見した。命を救えなかった悔しさとともに「やっと家族の元に帰すことができる」と少しほっとした。

 機材でコンクリートを削り、手でかき分ける。がれきの中には子どもの洋服やおもちゃがあった。自身の幼い娘や息子と重なった。「早く見つけたいのに、見つからない。先が見えなくてもどかしかった」

 現地入りして数日は資材や食料が届かなかった。突然、住民が温かいスープとパンを振る舞ってくれた。「ジャポン、ジャポン」。援助隊の活動服を見て声を掛けてくる人も。「日本への期待や感謝の気持ちが伝わり、とてもやりがいを感じた」という。

 10管で勤務後、2019年から羽田基地に所属する。昨年は北海道・知床沖の観光船沈没事故の捜索にも当たった。初の海外派遣を終え「経験を後輩たちにも伝え今後に生かしたい」と話した。