嘉徳海岸護岸工事 反対派住民の公金差し止め請求を棄却 鹿児島地裁

 2023/02/17 13:26
 鹿児島県が瀬戸内町嘉徳海岸で計画するコンクリート護岸の浸食対策工事を巡り、反対する住民ら10人が県に対し公金支出の差し止めと、支出済みの公金を知事個人に賠償請求するよう求めた住民訴訟の判決で、鹿児島地裁(古谷健二郎裁判長)は17日、原告の請求を棄却した。

 嘉徳海岸は2014年の台風で砂浜が集落近くまで浸食された。県は当初、全長530メートルのコンクリート護岸を計画したが、環境への影響を懸念する住民の声を受け、高さ約6メートル、全長180メートルに規模を縮小した。海岸一帯は世界遺産地域を効果的に保全するための緩衝地帯になっている。

 原告側は、砂浜の砂が回復してきており、護岸整備がかえって浸食を招く恐れがあり費用対効果がないと主張。海岸防護と環境保全の両立を定めた海岸法などに違反するとして、19年3月、公金差し止めを求めて鹿児島地裁に提訴した。

 県側は、砂の回復を認めるものの浸食前の状態までは戻っておらず、再び浸食される恐れがあると反論。住民の生命・財産を守るために護岸は必要として棄却を求めていた。