てんぐや鬼が「オイヤナ」?…あいさつ由来のかけ声叫ぶ 300年続く笠沙「お伊勢講」3年ぶり

 2023/02/18 08:45
元気よく練り歩く振り子の一団=11日、南さつま市笠沙町片浦
元気よく練り歩く振り子の一団=11日、南さつま市笠沙町片浦
 鹿児島県南さつま市笠沙町片浦に伝わる伝統行事「お伊勢講」が、3年ぶりにあった。てんぐや鬼などの面を着け、長じゅばんで女装した振り子23人が、なぎなたを振り回しながら「オイヤナ」と叫んで集落を練り歩き、住民を沸かせた。

 お伊勢参りの旅費集めで「おいやっな(おられますか)」と各家を訪ねたことに由来し、300年以上続く。新型コロナウイルス下で規模縮小を経て、今年は11日、完全な形で開いた。元気な声を響かせる振り子の一団を大勢の住民が待ち構え、無病息災の言い伝えからなぎなたで頭をたたかれたり、さい銭を投げ入れたりした。怖がって泣き叫ぶ幼児もおり、笑い声に包まれた。

 地元の2中学校の8人も参加。大笠中1年の有留蓮さんは「先輩たちみたいに大きな声は出さなかったけど楽しかった」と笑顔を見せた。同市加世田小湊の鮫島美紗子さん(38)は、片浦出身の夫の啓さん(41)と息子の万世中1年、魁惺さんの勇姿を見守り、「歴史ある行事に親子で出るのを見ることができてうれしい。迫力があって盛り上がった」と話した。